リバース

リバース (講談社文庫)

Nのために
に引き続き、読んでみようと手に取った本。
『Nのために』は除いて、小説は最近あまり読まなかったので、新鮮な気持ちでページをめくった。

読み進めていくうちに
続きが気になって仕方がなくなった。リバースという題名の通り、10年前に遡り物語は進む。
コーヒーと蜂蜜と蕎麦。
これが物語のキーワードだった。

また、あとがきが面白かった。講談社から出た難題のお題を見て、作者が物語を組み立てたそうだ。
湊かなえ特有の、「イヤミス」=読後感がイヤなミステリーというのも当てはまるが、今回は男性読者が特にそう感じるそうだ。男性特有の嫉妬心、男性同士の比較の仕方などが書いてあるからだそうだ。

物語について。
あまりパッとしない地味な男が主人公。大学四年生のときに、主人公にとっては初めて出来たに等しい親友が車で事故死してしまう。

その事故は、同じゼミ仲間五人で行った旅行先信州での出来事で、宿泊先の別荘に先に四人が着き、あとの一人を、夜遅くに台風が近づく大雨の中、迎えに行くことになった。その一人はワガママで、どうしても誰かが迎えに来いと言う。そこで車を出すことになり、半ば押し付けあいながらも、運転免許を持つ主人公の親友が行くことになった。それまで先に着いた四人は大いに食べて、お酒も飲んだ後だったので、他の三人は彼が飲酒運転になることを知った上で、送り出す。

でもその途中、親友は車ごと崖から転落、車は炎上し事故死してしまう。炎上した親友の遺体が見つかった。
残された四人は責任を感じながら生きるが、10年後、四人それぞれに、人殺し というメッセージが届く。

主人公は、信州で親友を見送る際に、甘党の親友のために、親友が好きな蜂蜜をたっぷり淹れた主人公特製コーヒーを持たせる。主人公はコーヒーにかけては、このときの仲間の間でも、今現在の職場でも熱望されるほどの腕前の持ち主で主人公が淹れたコーヒーは絶品だと絶賛されるほど。だから親友にコーヒーを持たせた。
ゴメンな、こんなことしかできなくて。
と言って。

文面から、親友の最期に蜂蜜のコーヒーを持たせてやれてよかった。と誇りに思っているようにも伺えた。

最後の場面で真相が分かるまでは。

主人公たち、四人のゼミ仲間は、手紙やメッセージが届いたあとに、二人や三人で何度か集まり、最終的に四人で集まり相談しあう。あれは本当に事故死だったのか。
本当は殺人ではないのか。

事故死した主人公の親友に迎えに来てもらうはずだったワガママな仲間の一人は、主人公と同様、あとから事故現場に到着したので、事故現場に真っ先に到着した二人が飲酒運転を隠すために車を突き落としたのではないか、と疑いはじめた。

真相は意外なところにあったので成る程と思ってしまった。