ふたり

ふたり (新潮文庫)

ふたり (新潮文庫)

もう10年以上前に読んだ本なのに、まだあらすじと、どんな感じの本だったか覚えている。
特に主人公の姉が死んでしまうシーンは、よく覚えている。大型車ではねられ、下半身は大型車の下敷きに。そして辛うじて上半身、頭は隙間から出ているが、その上半身も、いつぺしゃんこになるか、分からない。何故なら、大型車を支えているのがわずかな棒で、その棒が折れれば、大型車は姉の上半身、頭もいとも簡単に潰すだろう。
一部始終を妹は見ていた。わずかな隙間から覗く姉の顔。
姉は、意識はしっかりしており、これから自分の身に起こりうることを説明し、妹に落ち着くよう言いながら、自分が死んだあとに、自分達の親や、母などとどう接すればいいかをハッキリきっぱり妹に伝えた。
妹はうろたえるばかり。
そうこうしているうちに、ついに支えが崩れ、姉は大型車の重さを全身に感じ、上半身もぺしゃんこになり、死んでしまう。
妹は、姉の言い付けを守れるのか。

すると、姉の声が妹の頭の中で響きはじめた。
肉体は死んだが、精神は妹の中で生きている。
妹の頭の中で、姉と妹の奇妙な共同生活がはじまった。