蟹工船

蟹工船 (スラよみ!現代語訳名作シリーズ)

蟹工船 (スラよみ!現代語訳名作シリーズ)

高校の頃、日本文学史の資料集に名前だけ出てきた蟹工船蟹工船小林多喜二とテスト対策のために覚えた。インパクトのある名前だと思った。

その名前はずっと気になっていた。いつか読みたいと思っていた。

別の本を探している最中、たまたま見つけた蟹工船。読んでみようと手に取った。

読んでいて気づいた。この本には「主人公」がいない。船の中の、全体像そのものが「主人公」だ。
やっぱり最後の「解説」にそのことが書かれていた。

また、とても読みにくかった。何故読みにくいか?当時の検閲を考慮し、多くの削除や伏せ字がしてあるとのこと。現代語訳版だが、それでも読みにくい。意味を調べながら読んでも、よく分からない単語もあった。
オノマトペも多かった。多くを、推測しながら読む必要があったが、それでも読み進める内に、物語に引き込まれていく。

読書後の感想
よくこんな劣悪な労働環境で働けるな
病気になってもケガしても働かせられるなんて
また、そんなことしたら、死ぬと、わかっていてそれをやらせる、やらさせられるなんて
船でノミやシラミだらけ、ケガや病気だらけになってしまった疲労困憊の労働者たちは、そういう環境に追いやった監督達への鬱憤や憤怒が、日に日に胸に蓄積されていく・・・
けれど、最後は・・・

後書きに、小林多喜二は三時間の拷問の末、29歳で死亡とあった。また、亡くなる少し前にベートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ長調op16の交響楽団の演奏会を見に行ったとあったから、その協奏曲を聞いてみた。