蟹工船
- 作者: 小林多喜二,渡邉文幸
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2014/10
- メディア: 単行本
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その名前はずっと気になっていた。いつか読みたいと思っていた。
別の本を探している最中、たまたま見つけた蟹工船。読んでみようと手に取った。
読んでいて気づいた。この本には「主人公」がいない。船の中の、全体像そのものが「主人公」だ。
やっぱり最後の「解説」にそのことが書かれていた。
また、とても読みにくかった。何故読みにくいか?当時の検閲を考慮し、多くの削除や伏せ字がしてあるとのこと。現代語訳版だが、それでも読みにくい。意味を調べながら読んでも、よく分からない単語もあった。
オノマトペも多かった。多くを、推測しながら読む必要があったが、それでも読み進める内に、物語に引き込まれていく。
読書後の感想
よくこんな劣悪な労働環境で働けるな
病気になってもケガしても働かせられるなんて
また、そんなことしたら、死ぬと、わかっていてそれをやらせる、やらさせられるなんて
船でノミやシラミだらけ、ケガや病気だらけになってしまった疲労困憊の労働者たちは、そういう環境に追いやった監督達への鬱憤や憤怒が、日に日に胸に蓄積されていく・・・
けれど、最後は・・・
後書きに、小林多喜二は三時間の拷問の末、29歳で死亡とあった。また、亡くなる少し前にベートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ長調op16の交響楽団の演奏会を見に行ったとあったから、その協奏曲を聞いてみた。