ワケありな国境
- 作者: 武田知弘
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/08/09
- メディア: 文庫
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国マニア、国境奪い合いの世界地図も面白いが、このワケありな国境が一番スラスラ読めた。
先が気になるのである。
そして説明が分かりやすかった。
この本は国マニアも参考にして書かれたようで、この本を国境奪い合いの世界地図は参考にしたようだ。
わたしが初めて知ったことは下記。
(既に他の本で知っていたことは割愛する)
アメリカの植民地運営の真実、ドルで広げて行く方法
カナダとアメリカの一直線の国境のワケ
メキシコ政府が作った安全な不法入国というマニュアルがある
ブラジルの領土が大きいワケ
チリが細長いワケ
南極大陸の水面下での領有争い
→アルゼンチンやチリは南極での出産を奨励
→アルゼンチンのエスペランサ基地には小学校まで併設
→イギリスが南極周辺の海底大陸棚を自国のものとして国連に申請、南極の領有権を最初に主張
・ヨーロッパ
北アイルランド問題
→イギリスの無茶な植民地政策かと日本人の感覚では思うが違う。カトリックとプロテスタントの宗教の違いで対立している。ヨーロッパで吹き荒れた宗教改革が根底にある。
シーランド公国
→居住性は狭い上に発電機の音がうるさく非常に悪い。
→西川きよしがシーランド公国が売り出した爵位を買ったので、公国内では伯爵となる。
→最近、公国自体が売りに出されたが非常に高額
アルザス=ロレーヌ地方
→「最後の授業」という話をある年代以上は教科書にあったので知るらしいが、フランス側に立ちすぎているため偏っている。そのため教科書には採用されなくなった
オランダの埋め立て地は領土なのか
ハンガリーは周囲に強国が次々に勃興し翻弄され続けた
デンマーク領グリーンランドとカナダのエルズミーア島の間にあるハンス島の領有権がデンマークとカナダの間で争われている。国境を決めるときうっかりこのハンス島のことを忘れていて、今になり争われている
・中近東 アフリカ
アラブ諸国の国境線 中東にはオスマン帝国という大国が存在し、ヨーロッパ列強は何とかこの国を始末したいと思っていた。そこで巧妙な策を講じた。各部族に戦後に独立させることを約束、その線引きが今の問題に繋がる
南アフリカのなかのレソト
イギリスとオランダの植民地獲得競争の緩衝地帯であり、モンシェシェ王の政治的判断が懸命だったため欧米の侵略をかわせた。
赤道ギニアは首都マラボが本土から100キロ以上離れたビオコ島にあり、首都マラボが独立したがっている
ベルギーの適当な植民地運営と適当な独立承認で大混乱になったコンゴ
リベリアのアメリコ・ライベリアンとは。奴隷貿易でアメリカに連れて来られた奴隷をアフリカに返したが、そこで新たな火種が
・アジア オセアニア
台湾に逃げた中華民国の政府は南京は南京で台北は臨時だということと、中華民国は他に金門島も持っていた、ということ。中国の人民解放軍との争いで、良質な鋼で出来た弾丸が二時間で約47万発金門島に打ち込まれた。今は金門島の住人が弾丸を拾い包丁を作るようになり、名産品になった。
パキスタン政府の統治が及ばないトライバルエリアとは何か
タイはいかにして国境を守ったか
→列強の植民地支配の位置関係をおおいに利用し国境を守った
タイ、ミャンマー、ラオスの国境が交差するゴールデントライアングル
→どの国の政府の統治も及ばす、どの国の警察も入れない独裁国家のようになっていた地域。モン・タイ軍を作り独立運動をはじめ、ゲリラ部隊を組織、一大勢力を持つように
・日本
日本が植民地化を逃れたワケ
日本が戦争を始めたそもそものきっかけ
最初は列強に植民地化されないために、だったが
戦争のうまみを体感しはじめてしまう
また非常に悔しい思いもし、やみつきになっていく
さて、色々な国境の本や国の本、紀行文、旅行記、国際文化の各本、国際ニュース本など様々な本を読んできたが、知らないことはまだまだあると実感した。また過去に読んだ本で既に知っていたり、学んでいたことでも別の本から別の切り口で学び直すのも面白いと思った。