物語のある絶景

いますぐ行きたくなる 物語のある絶景

いますぐ行きたくなる 物語のある絶景

何個か行ったところのある場所が載ってあった。

例えば、東尋坊
この本では自殺を止めるため、日々奮闘している元警察署の男性の物語だった。思い詰めた表情の女性に話しかけ、餅をふるまう。
定年前、配属されてきた直後3週間で10人もの人が身を投げた。何とか出来ないかと定年後に自殺の見回りを始めたそう。
元気のない思い詰めた人に声をかけ、話を聞き、餅をふるまう。


東尋坊は私も行ったことがある。自殺の名所とは知らずに。純粋に観光として。
しかし切り立った断崖絶壁は、歩いていても海に落ちないかヒヤヒヤした。しかし絶景でもあった。
この地に、色々な物語がある。

行ったことはないが、長崎県端島、通称軍艦島のお話も興味深かった。軍艦島の存在は2008年頃に知り色々調べていた。当時は近くの漁師さんに頼んで大金を渡し、こっそり上陸しないかぎり入れない、立ち入り禁止の島だった。それが今は世界遺産になり観光地になっている。
この本では、その軍艦島での暮らし、狭い島にマンションが密集、5000人以上が住んでいた。しかし島の人々は皆仲が良く、知らない人はおらず、家に鍵をかけることもなく、近所で助け合うのが当たり前の世界。大人が宴会を始めると子どもは隣の家に行く。笑顔溢れる島だったそうだ。1974年に閉山し無人化した。

また、行ってみたい場所もあった。
一つは、北海道星野リゾート トマム。早朝の雲海テラスの写真と共に、
「寝坊をこれほど後悔する場所は他にない」
とキャッチフレーズ。

もう一つは前から行きたいと思っているが、東京都の青ヶ島。かつて楽園と呼ばれていたが1785年に大噴火。380人のうち160人が亡くなった。残りは八丈島へ避難したが、当時の八丈島は貧しく助ける余裕がなかった。住民たちは何とか帰ろうとするが、3回に2回遭難させたという黒潮の流れは帰島に挑戦する人材を次々に失う。
(この海域は荒れていることが多く、船をなかなか出せない。一週間に一回というときも。画像を見たことあるが、あおがしま丸という船内の様子をみると、まだ平穏なときですら、船は揺れに揺れ、慣れていない人はエチケット袋が欠かせない様子)
そして、八丈島生活も30年を越え、あきらめムードが漂う中、佐々木次郎太夫が表れ、人々を説得し綿密に計画を練り、ついに青ヶ島に帰還した。

二重カルデラを持つ青ヶ島。今も船が出るか出ないか分からない黒潮の急な流れ、ヘリだって八丈島から数人しか乗れなくていつ欠航になるか分からない。こんな有人島なのに人を寄せ付けない面をもつ島だから、行ってみたくなるのかもしれない。