ツバキ文具店

ツバキ文具店

ツバキ文具店

今年の六月に、初めて鎌倉を訪れた。東京で働いたことがあったので、同じ雰囲気かと思いきや、江の電が走る鎌倉一帯は、東京とはまた違った独特の雰囲気を醸し出していた。

そんな折、鎌倉に行くならば、この小説を読んでみたら、と差し出されたのだ。
ずいぶん放置してしまい、今頃になって読んでみると、鎌倉の様子が目に浮かぶ。
この小説は鎌倉に行ったことがあれば、より雰囲気の分かり、より理解出来るかもしれない。
恐らく、鎌倉に行く前であれば想像力を働かせて読んだには違いないが、鎌倉の雰囲気を知って読む方が面白いかもしれない。

二十代後半の主人公の女性は、実は祖母なのだが厳しい先代の指導のもと大きくなった。先代のあとをつぎ、代書屋と文具店を営んでいる。
手紙を代書してほしいという様々な依頼が来るが、その一通一通と真剣に向きあい、依頼主の心に寄り添い手紙を代書している。

手紙の紙やインク、切手、封筒にまで種類や材質までこだわりぬかれている。

わたしはこんなに真剣に手紙というものを書いたことがないかもしれない。