秘島図鑑

秘島図鑑

秘島図鑑

ああ、面白かった。
というのが正直な感想だ。2015年、書店で見つけた際に衝動買いしてしまった本だ。
日本の「沖縄」旅コーナーに置いてあったが、沖縄だけでなく、日本中の行けない島々について書かれている。

まずは南硫黄島の物語から。ここは小笠原の父島から約330に位置する断崖絶壁の島だ。
後述の「おがさわら丸」が不定期でこの南硫黄島も含む周遊を行っていることがあるらしい。

次に北硫黄島だ。この島もなかなかの断崖絶壁だが、わずかに平地があり、そこに戦前の最盛期に2集落があったそうだ。村の名は西村と石野村。石野村には小学校があったそうだが、西村の子どもたちは石野村の小学校まで険しく岩だらけの磯づたい通学、もしくはシケて海辺の海岸沿いが渡れないときは、切り立つ急峻な山を越えて通学したそう。ワイルドな通学路だ。

沖大東島ラサ工業の私有地だが、在日米軍が射爆撃場として使用し傷んでいく。

横当島は宝島の住民から「オガミ」と呼ばれ昔から崇敬の対象となっている美しい島。

硫黄島(沖縄)は噴火を繰り返し何度も島民が避難したり移住したり。1967年以降は無人

沖ノ鳥島は日本最南端の島で北小島と東小島は護岸工事が行われた。

南鳥島は日本最東端の島で現在は政府職員、気象庁海上自衛隊関東地方整備局の方々が駐在しているが、アクセスは無し。かつて水谷という人がアホウドリの乱獲かつリン鉱石を枯渇するまで取り、その労働者も48人中13人死亡という過酷な状況の島だった。

沖ノ鳥島は御不言様(おいわずさま)と呼ばれ御神体とされ、祀られている。女人禁制で、毎年5月27日だけ、男性のみ抽選で200人、この神格化された島に渡れる。

鳥島(東京都八丈支庁)は漂流物語ナンバー1だ。江戸時代難破船がしばしば漂着。野村長平は島に生息するアホウドリを食べて12年間も過ごす。
1887年からはアホウドリの捕獲の開拓が始まる。玉置半右衛門がアホウドリを撲殺し膨大な富を得る。開拓で島の人口は125人を越えたが1902年の火山爆発で島の半分が吹き飛び、住人全員が死亡。「アホウドリの祟り」と恐れられたというが、玉置半右衛門は無事で、その後出稼ぎ労働者29人を連れて羽毛採取を再開したという。

西之島は2015頃、テレビを賑わせた生まれてスクスクと育つ島

硫黄島(東京都)は激戦の歴史を刻む

馬毛島は違法性の疑われる乱開発が行われ、不自然に島がハゲて滑走路が出来ている。違法性もあるキナ臭い島だ。強引な開発は企業が所有している島だからだ。「投資先」として島を見ている可能性があるという。1980年までは人も住んでいて小中学校もあったそうだ。この島特有のマゲシカが生息する島でもある。

沖縄の鳥島も米軍の射爆撃場として使用され劣化ウランも誤射したといい汚染が心配される。

横島は1897年から石炭の掘削開始、最盛期は人口700人もいて小学校もあった。今は水没し岩礁だけになっている。

臥蛇島は1940年に133人の人口だったが相次ぐ台風、地理的条件により1970年16人の全島民の移住で無人化。1969年、無人化の一年前はライフラインである定期船のはしけ作業は16人の内一人でも欠けると出来ない作業で、ギリギリの状態だったという。

八丈島のそばの無人島の八丈小島も面白い。ここも昔は有人だった。著者が漁船で行き上陸した様子も書かれている。宇津木小学校跡や神社跡はあるが、基本的に何も無い。筆者は次第に暇になる。しかし東京都管轄なので道は整備されて草刈りもされている。意外だったのは携帯が通じるということ。


屋嘉比島1880年鉱山が発見され、一時期は2000人以上が暮らしたとされる。1945年米軍により鉱山破壊。それ以後は無人島というが、ここにも筆者は上陸している。
ラサ工業の南進精神がここで記載されているが屋嘉比島の銅採掘、リン鉱石の採掘はラサ島とアンガウル島(現パラオ共和国)で行い、さらには資源枯渇を見越し、南シナ海新南群島(現南沙諸島)まで手を出す。一企業が南洋の僻地にこの時代に出かけていくのがすごい。

入砂島も米軍の射爆撃場になっている。

昭和硫黄島は溶岩だらけのハダカ島だ。

続島は旧日本海軍の戦艦「陸奥」が爆沈事故を起こしたがこの事故は意識的に秘匿され、この無人の続島で遺体がひっそりと埋葬された。

そして本では岩のコーナーへ。
男岩、大野原島、ベヨネース列岩、須美寿島の紹介が続き、そう婦岩へ。
この岩は高さ99メートルに及ぶが、2003年この岩をヨットからゴムボートへそしてゴムボートから足場へ三メートルも波によって上下するなか苦労の末上陸、そして登はん。登頂してみたら1972年早稲田大学の学生が登頂済の痕跡が残っていたそうだ。

奇岩の紹介のあとは地図や伝承で伝えられてきたが実際には無い島
南波照間島、中ノ鳥島

そしてまた無人島の紹介。
祝島肥前鳥島北方四島竹島尖閣諸島の紹介と続く。

紹介が全て終わったら筆者の実践編とされた記述が読めるが、それによると
日本国内であれば本籍を移せるらしく、実際日本最南端の沖ノ鳥島や、竹島尖閣諸島北方四島には何人も本籍を移している人がいるらしい。

そして「おがさわら丸」の航海の様子も面白かった。25時間以上かけ父島へ行き、そこから更に二時間船に乗り母島へ。そこから更に南の、北硫黄島硫黄島南硫黄島のクルーズ。乗っている乗客はバードウォッチングが趣味の人か、秘島マニアだとのこと。

それからGoogleアースの他に、電子国土Webも面白そうだ。これはGoogleアースのように航空写真は一部しか見れないが、島と島の間の距離がどのくらいか、とか島の面積が一発で出るという。

新しいことがたくさん知れた面白い本だった。