私の裁縫箱

書店で見かけて気になっていた本。何回か考えやはりほしいと購入した。

帯に有る
何でも買えてしまう世の中だからこそ手作りの良さがある
に共感。
アクセサリーや服にあまり興味がわかない私も、アクセサリーを色々作り始めたが、自分の作ったものなら興味がわくし、どのようにして作ったかがわかるため、その物自体の弱いところや壊れても直せるところなどがよいと思う。
また服を作ってる人、アクセサリー作ってる人の作品にも興味がわく。

最近、針と糸を持ったことがありますか?
というこの本の問いに対して。

→あります。ボタンとれたら針と糸でさっと直せます。チクチクチクチク、確かに一針ずつ。いつも仕事で高速回転してる私とは大違いだ。
手作りは、ゆっくりしか進めない。

この本では色々な方の裁縫箱が紹介されている。

井上アコさんの面白いところはライブ刺繍といって子供が描いた絵をそのまま刺繍にしてしまうところ。
この方は、五歳ぐらいのときから針と糸を持ち、遊んでいて、あるとき人形の布団を縫うと、何かが違う。お母さんに縫ってからひっくり返してね、と言われ、魔法を見た気がしたらしい。それからパタンナーになりたくて服飾の学校に入学したとのことだった。あるときフランスで、子供がいない人が子供が子供服を縫っていて、子供がいなくても子供服を作っていいと気がついたそう。

布作家の石川ゆみさんは、木工作家の井藤さんの作ったシェーカーボックスを裁縫箱がわりにしている。あとはマドレーヌの空き箱にレースや糸を入れている。この方、設計図は無しで手を動かすなかでいい形を見つけていっている。家のカーテンなども手作りとのこと。

刺繍作家の大塚あや子さんは、客室乗務員をやっていた。刺繍作家として教室を開いたのは55歳のとき。どんな細切れ時間にも針を持てるよう携帯用裁縫箱を準備している。ナンタケットのバスケットやアンティークのシルバーケースが彼女の裁縫箱に。

モデルでイラストレーターの香菜子さん。
飾れる裁縫箱として、木工作家の友人が「引き出し展」に出展した作品の中から「A」の引き出しを選び、Aの形をした引き出しの中にボタンや針などをしまっている。無印の引き出しも裁縫箱にしている。この方の言うように、「これ、どうやって作るんだろう?」という考え方が私にもマッチしている。

この本にちりばめられた働く道具のコラムも面白い。
針、ピンクッション編の
靴型、どんぐり型、猫が蓋で寝てる型のピンクッション、かわいいし面白い。
まち針を赤と白で統一してる人も。

アトリエオーナーの中山則美さんは、アメリカに買い付けに行ったときに見つけた1950年代の古いバスケットを裁縫箱にしている。蓋に貝殻があしらわれている。この方は真鶴半島でスクランプシャスというオリジナルウエアとアンティークの店を一ヶ月に数日だけオープンしている。ご主人と二人で手掛ける。縫製を手掛けるのはご主人。則美さんは手縫いを手伝う。


イラストレーターのmitsouさんの裁縫箱はきれいな空き箱いくつか。シルバー缶が基本らしい。
この方はハンカチにポイント刺繍をしたものをサイト「みつのあはれ」で発表している。必要なものはそんなに多くない、目に触れるものが心地よい暮らしを、というのがこの方のモットー。

クリエイターのRARI YOSHlKO さんは、ガラスのふた付き入れ物(標本箱)を裁縫箱にしている。しまって美しい箱を裁縫箱に、とのこと。那須高原にアトリエをオープン。

私がほしいと思った裁縫箱は中村好文さんがデザインした裁縫箱「MEME」


最後の章はおばあちゃんの裁縫箱。
71歳の鈴木照美さんは義母が使っていたボタン入れのミルク缶を今でも相棒として使う。作ったものは大切に使うようにしている。

80歳の富永ちか子さんは娘さんが使っていたプラスチックの裁縫箱を採用。

75歳の松井タズ子さんは50年以上前からある木の小引き出しを裁縫箱がわりにしている。

91歳の村山ふさえさんは車のシートを縫う仕事を手掛けてきた。空き缶の裁縫箱にポンポン何でも入れている。

最後のページに色々な方々の色々な裁縫箱が写真付きで紹介されていて面白い。
お菓子の缶やプラスチックの箱、裁縫箱として作られた裁縫箱の人もいれば空き箱の人や、お弁当箱を裁縫箱にしている人もいた。

さて、私は?といえば
未だに小学生のときに家庭科の授業でいると言われ買ったベーシックな水色と青の裁縫箱である。小学生用なのだが、今でもこれを使っている。そろそろ色が褪せてきたので、買い直してもいいかもしれない。