【夢日記】変な夢②ルシファーの組織

「杉ちゃん!!聞いてよ~!」

同じサークルの杉ちゃんは私の尊敬する同級生だ。
サークルには同学年が私と杉ちゃんしかいないから私は仲良くなりたいが、杉ちゃんは割とクールだ。
でも、本当に困っていたらすぐに駆けつけてくれて
あっと言う間に問題を解決する。皆が杉ちゃんのことを好きだった。

「なんよ~。」

杉ちゃんがこっちを振り返った。私自身は学生だが、成績が良かったため大学側からの期待は高く、バイト先からも頼られ、教授からは大学の任意の論文の提出を求められていた。その上でサークルの役員もつとめ、近隣大学へ役員として奔走し、杉ちゃんと二人で100人のサークルをまとめあげていた。

学生なのに朝8時から夜12時まで走り回り、多忙を極めていた。表向きは「学生超やり手人間」だが心の中は不安やドロドロでいっぱいだった。

「ねえ、どうして後輩の○○は私を無視するんだろう」「ねえ、どうして○○は無茶ばっかり振るのかな」「私はこんなに頑張っているのに」

こういう愚痴を杉ちゃんにしていた。杉ちゃんはクールだから、取り合わない。しかしある時、後輩から先輩から先生から、色々なことを言われすぎ本当にストレスがたまってたまって、耐えきれなくなって、ついに杉ちゃんの前で泣きわめいてしまった。

本当に心が悲鳴をあげてるとき、杉ちゃんは優しい。1日の仕事がすべて終わった夜の12時、大学の近くの川べりで話を聞いてもらいながら泣いていた。

何かが光った!

「ちっ」

杉ちゃんは忌々しそうにそちらに一瞥をくれた。

「来やがったか」

「ごめん、ちょっと今、話を聞いてあげられない。私が、普段どんなに酷い生活をしてるか、少し見てしまう羽目になるけど」

そう言うと私をひょいと担ぎ上げ、川沿いを駆け抜けた。私が前になっていたが、私に何かを投げつけてくる忍者のような人影が何人も何人も何重にも襲いかかる。
しかし、私が標的でないとみて、私に投げつけてきたものが私にぶつかると、それはソフトボール大のピンクの金平糖にパッと変わってしまう。
一方、杉ちゃんに向かうのは、ソフトボール大の鉄の塊。しかもその鉄のボールには鋭利なトゲが何本も付いている。

杉ちゃんは慣れた様子でそれらを叩き落としたり、避けたりしていた。一つでも受けてしまうと大ケガは免れないだろう。杉ちゃんの方向へ向かう鉄ボールは金平糖にならないようだ。

杉ちゃんは、私を抱えながらもひょいひょい身をかわし
敵?をまいて、下流の方まで来た。
杉ちゃんは言った

「今日のことは内緒で」

くるっと踵をかえし、帰っていった。

何日か経った後、私たちのサークルの本番が始まった。指揮をとるのは杉ちゃん。台にのぼりサークルのメンバーに指示をとばす。
その時、何か光る槍のようなものが杉ちゃんに襲いかかる。私はハッとして、その槍を捕まえにかかった。

「しまった!」

それに気がついた杉ちゃんは真っ青になった。
何か暗黒の底なし沼に落ちていく気がして、気がついたら、部屋の一室にいた。
資料集の本棚が沢山ある部屋で、見た目は講義を受ける教室風だがどこか宗教じみた部屋だった。何人かがテーブルを取り囲み座っていた。意外なことに杉ちゃん以外は、サークルのメンバーは一人もいなかった。

代わりに 
大学の福西先生(サークルとは全く関係ない先生、中年のオジサン)
友達エリちゃんのお兄さん(このエリちゃんもサークルに全く関係ない、ましてやお兄さんも。お兄さんはパイロットを目指す賢い小太りの若者)
小学生の女の子
等々、知り合いも居たし、知り合いではない人もいた。10人くらい居ただろうか。杉ちゃんは端の方でソワソワしていた。

「われらの組織がメンバー以外に知られようとはな」

「この人どうしようか」
「杉、お前のせいだぞ」

口々に言う。

「私たち、いつも酷い目にあってるもんね、これがバレたら・・・」小学生の少女が涙ぐむ。
「あなたはまだ子どもだから、まだマシな方なのよ。大人になるにつれ襲いかかる呪いも、攻撃も、刺客も半端ないよ。もちろんミッションだって。」
ここにいる人たちは、何か隠していて、攻撃や呪いを避けながら壮絶な毎日を過ごしているようだ。
私も知ってしまった以上は、この組織のメンバーになってしまうのかとヒヤヒヤしたが、そうではないらしい。

資料集を手に取り見ようとした。「ルシファーの組織の・・・」と目に入ったところで、
「何やってるの!返しなさいっ」とひったくられてしまった。

杉ちゃんと私だけ、外に出された。
杉ちゃんは私に言った

「毎日、とても壮絶なんよね。気になるだろうけど、絶対、調べないで。」

そして闇の中に消えていった。

数日後、妹の家で本棚を見ていた私はハッとした。ルシファーの・・・と書かれた、あの組織で見た全く同じ本が本棚にさしてあったからだ。
怖いもの見たさで手に取ると

「あっ、返して!」
と妹がすぐに気が付いて、ひったくってしまった。

「ねえ、もしかしてこの組織に入って・・・?」
「この組織って一体何?もしかして容赦ない攻撃とか受けてる?」
私は色々聞いたが妹は全く答えてくれなかった。

どうやら私は入れないらしい。入り方も分からない。杉ちゃんも妹も入りたくて入ったわけではなく、この組織から非常に抜け出したいみたいだった。