読む漢方薬

読む漢方薬 ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」

読む漢方薬 ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」

漢方薬の世界、知らないことが沢山あった。

中国ではゾウリ、ハエ、瑪瑙、紙、ゴキブリも漢方薬にしてしまう歴史があったとは。

ゾウリは昔は繊維のかたまり、ボロボロになって道端に捨ててあるものを灰にして陣痛促進剤の薬にして使うとか(しかも裏向きで捨ててあるものや横向きのはダメとか)

ミイラも漢方薬になったらしい。ミイラ志願者を募り、その人に蜂蜜ばかり食べさせてその人自身が死んでしまえば蜂蜜を満たした石棺に安置、100年ほど待ち、「密人」「木乃伊」という漢方薬になるのだとか。

紙魚(シミ、本の間から出てくる虫)は紙ではなく糊(デンプン)を食べているとか。

蠱毒という世にも恐ろしい毒の呪いとか。大きな瓶に色んな生き物を100匹入れて蓋をとじる。そうすると、瓶の中で壮絶な弱肉強食が始まり、最後に残った一匹を使う。何の虫が残るかによって呼び名も変わるらしいがすごく気色が悪い。今でも中国ではとても恐れられている。

あと童子蛋といって浙江省の東陽の伝統的な煮卵があるそうだが、それは小学校へバケツを持っていき、健康な男児の尿を集めて、それで卵を煮るとか。それは2008年、東陽の非物質文化遺産に指定されたそう。

また、父親の骨には実子の血液だけが染み込む、というのを検証するため、南北朝時代に、武帝の息子ということになっているショウソウという人が、七ヶ月で生まれたことから、前の皇帝、ショウホウカンの息子ではないかと検証するため、ショウホウカンの墓をあばき、骨に自分の血を垂らすと染み込み、更に検証するため自分の息子も殺したとか。

あと、ふぐの毒とトリカブトの毒は打ち消し合うが、毒の打ち消し合う作用が終わったあと、残った毒の方で人間は死んでしまう、それを使った殺人事件が日本であった話やら。

ヒキガエルが、猛毒なのも知らなかった。カエルを美味しそうと思う中国人が、鳥や蛇ですら避けるヒキガエルを誤って食べて、毒で死んでしまうケースもあるらしい。

あと中国のカアンという人の功罪とか。
(散歩という習慣も、元々はこの人の功罪から発生)

アリに感染するマインドコントロール菌も不気味。
(アリの脳を乗っ取り、アリに植物の葉の先まで行かせ、葉を咬んだまま、アリは死亡、そこから子嚢果が生える)

ムカデや朝鮮人参にまつわる話も知らないものばかり。ムカデは結構人手がかかった漢方薬であるとか、天然の朝鮮人参は2400万円~3000万円はするとか。

あと中国の病院には赤地で金色の文字で書かれた錦旗がかけられているが、それは医者に対する一種の感謝状で、「妙手仁心」「医徳高尚」「華佗再生」とかあるが、その華佗の名医ぶりの話も知らなかった。

このように、ちょっとグロテスクに思うところや想像して気持ちわるいものもあったが、こんな世界もあるのか、ということが知れた本だった。